ビオ数

ビオ数(ビオすう、: Biot number)は伝熱に関する無次元量であり、固体内部の熱伝導と、表面からの熱伝達量の比率である。その名はフランスの物理学者ジャン=バティスト・ビオの名前に因んでいる。

ビオ数が、1を越えれば、固体内部の熱伝導が遅いことを示し、固体内部の温度勾配が無視できないことを示す。

定義

ビオ数Bi は次式で定義される:

B i = h L λ {\displaystyle Bi={\frac {hL}{\lambda }}}

ここで

である。式の形はヌセルト数と同じであるが、ビオ数は固体側の熱伝導率を用い、ヌセルト数は流体の熱伝導率を用いる。

使用例

熱伝導率λ、厚さL の1枚の板を考える。一方の面の温度がT1 に保たれ、他方の面には温度T の流体が接して熱伝達率h の対流熱伝達が生じているとする。流体が接している側の壁面温度をTw 、伝熱面面積をA とする。このとき、「固体内部の熱伝導」=「流体の熱伝達」、すなわち

λ A ( T 1 T w ) L = h A ( T w T ) {\displaystyle \lambda {\frac {A(T_{1}-T_{\mathrm {w} })}{L}}=hA(T_{\mathrm {w} }-T_{\infty })}

が成り立つ[1]。これを無次元形式に書き直すと

T 1 T w T w T = h L λ = B i {\displaystyle {\frac {T_{1}-T_{\mathrm {w} }}{T_{\mathrm {w} }-T_{\infty }}}={\frac {hL}{\lambda }}=Bi}

となり、この伝熱現象はビオ数で記述できることが分かる。

参考文献

  1. ^ 望月貞成; 村田章『伝熱工学の基礎』日新出版、2000年、36頁。ISBN 4-8173-0166-X。 

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