超対称性粒子

超対称性粒子(ちょうたいしょうせいりゅうし、英語: supersymmetric particle、SUSY粒子) は、超対称性によって予想される粒子の分類である。既存のある粒子に対し、スピンが1/2ずれるだけで、電荷などは等値の素粒子。スピンが1/2ずれるため、既存のフェルミオンに対し未知のボソン、既存のボソンに対し未知のフェルミオンが対となる。対をなす相方を超対称性パートナー (supersymmetric partner) という。

超対称性粒子の中で最も軽いものはLSP (Lightest Supersymmetric Particle) と呼ばれる。英語: R-parityの保存を仮定すればその粒子は崩壊しない安定粒子となるため、LSPが電気的に中性であればダークマターの候補となる。

現在の宇宙ではこのような粒子は観測されていない。少なくとも低エネルギーでは超対称性は破れており、超対称性の破れによって粒子とその超対称パートナーの質量が異なっていると考えられている。

実験での直接探索ではLEPやTevatron, 2008年からはCERN加速器LHCが行われているがこれまでのところ兆候は見つかっていない。[1][2] CERNが掲載した最新の論文(2021)では、「超対称性粒子が、いかなる条件でも全く観察されなかった」ことを改めて報告した。[3]

少なくとも、13TeVのエネルギーで探索できる領域までにはSUSY粒子が存在しないことが示唆された。仮にヒッグス粒子の超対称パートナーである「ヒグシーノ」が暗黒物質である場合、LHCの探索実験の死角に入りやすいとされている。[4]

命名法

ボソンに対するフェルミオンの超対称性パートナーは、元のボース粒子の名の語尾を-inoとする。-inoは「小さい」という意味。

フェルミオンに対するボソンの超対称性パートナーは、元のフェルミ粒子の名の語頭にs-をつける。s-はスカラーの略で、フェルミオンに対する超対称性粒子はスピンが0のスカラー粒子であることを表す。略さず「スカラー」を頭につけることもある。

主な超対称性粒子

脚注

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  1. ^ “SupersymmetryPublicResults < AtlasPublic < TWiki”. twiki.cern.ch. 2019年4月21日閲覧。
  2. ^ “PhysicsResultsSUS < CMSPublic < TWiki”. twiki.cern.ch. 2019年4月21日閲覧。
  3. ^ “Search for squarks and gluinos in final states with jets and missing transverse momentum using 139 fb−1 of √ 𝒔 =13 TeV 𝒑 𝒑 collision data with the ATLAS detector”. arxiv. 2021年1月18日閲覧。
  4. ^ “250 GeV ILC の物理の意義”. 2023年4月15日閲覧。
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