双曲線

双曲線

双曲線(そうきょくせん、: hyperbola)とは、2次元ユークリッド空間2 上で定義され、ある2点 F, F' からの距離の「差が一定」であるような曲線の総称である。

この2点 F, F' は焦点と呼ばれる。2点 F, F' を通る直線と2点 F, F' の垂直二等分線は主軸と呼ばれる。

双曲線の方程式

双曲線の標準形
標準形 x 2 a 2 y 2 b 2 = 1 {\displaystyle {\frac {x^{2}}{a^{2}}}-{\frac {y^{2}}{b^{2}}}=1} x 2 a 2 y 2 b 2 = 1 {\displaystyle {\frac {x^{2}}{a^{2}}}-{\frac {y^{2}}{b^{2}}}=-1}
漸近線 x a ± y b = 0 {\displaystyle {\frac {x}{a}}\pm {\frac {y}{b}}=0} x a ± y b = 0 {\displaystyle {\frac {x}{a}}\pm {\frac {y}{b}}=0}
焦点 ( ± a 2 + b 2 , 0 ) {\displaystyle (\pm {\sqrt {a^{2}+b^{2}}},0)} ( 0 , ± a 2 + b 2 ) {\displaystyle (0,\pm {\sqrt {a^{2}+b^{2}}})}
頂点 ( ± a , 0 ) {\displaystyle (\pm {a},0)} ( 0 , ± b ) {\displaystyle (0,\pm {b})}
準線 x = ± a 2 a 2 + b 2 {\displaystyle x=\pm {\frac {a^{2}}{\sqrt {a^{2}+b^{2}}}}} y = ± b 2 a 2 + b 2 {\displaystyle y=\pm {\frac {b^{2}}{\sqrt {a^{2}+b^{2}}}}}
離心率 e = a 2 + b 2 a {\displaystyle e={\frac {\sqrt {a^{2}+b^{2}}}{a}}} e = a 2 + b 2 b {\displaystyle e={\frac {\sqrt {a^{2}+b^{2}}}{b}}}

双曲線は、主軸を座標軸とする直角座標系において、次の方程式により表すことができる。

x 2 a 2 y 2 b 2 = 1 {\displaystyle {\frac {x^{2}}{a^{2}}}-{\frac {y^{2}}{b^{2}}}=1} (*)

この場合、焦点の座標は

F ( a 2 + b 2 , 0 )   ,   F ( + a 2 + b 2 , 0 ) {\displaystyle F(-{\sqrt {a^{2}+b^{2}}},0)\ ,\ F'(+{\sqrt {a^{2}+b^{2}}},0)}

と書ける。このとき、2焦点 F, F' から双曲線上の点 P への距離の差 |PF − PF'| は 2a となる。原点を双曲線の中心といい、2点(±a, 0) を双曲線の頂点という。

双曲線上の点 P と焦点 F との距離 PF と点 P から準線 x = a 2 a 2 + b 2 {\displaystyle x={\tfrac {a^{2}}{\sqrt {a^{2}+b^{2}}}}} までの距離の比は一定であり、比の値は離心率 e = a 2 + b 2 a {\displaystyle e={\tfrac {\sqrt {a^{2}+b^{2}}}{a}}} に等しい。

また、双曲線には2つの漸近線が存在しており、漸近線の方程式は

x a + y b = 0   ,   x a y b = 0 {\displaystyle {\frac {x}{a}}+{\frac {y}{b}}=0\ ,\ {\frac {x}{a}}-{\frac {y}{b}}=0}

である。

特に、漸近線が直交している、すなわち a = b であるとき、この双曲線を特に直角双曲線という。

反比例のグラフ xy = C も双曲線の一種である。これは、直角双曲線:x2y2 = 2C を原点の回りに 45° = π/4 だけ回転させた双曲線に等しい。

双曲線は、双曲線関数を用いて媒介変数表示することができる。

{ x = ± a cosh t y = b sinh t {\displaystyle {\begin{cases}x=\pm a\cosh t\\y=b\sinh t\end{cases}}}

また双曲線から左側の頂点 (−a, 0) を除けば有理関数を用いて媒介変数表示することもできる。

{ x = a 1 + t 2 1 t 2 y = b 2 t 1 t 2 {\displaystyle {\begin{cases}x=a{\frac {1+t^{2}}{1-t^{2}}}\\y=b{\frac {2t}{1-t^{2}}}\end{cases}}}

ただし t ≠ ±1 とする。右側の連結成分は −1 < t < 1 に、左下の連結成分は t > 1 に、左上の連結成分は t < −1 に対応する。これは二点 (−a, 0)(0, tb) を通る直線 ay = tb(x + a) と双曲線との交点のひとつとして得られる。

円錐曲線としての双曲線

円錐切断面の4つのタイプ (放物線楕円、円、双曲線)

双曲線は、直円錐を直円錐の頂点を通らず、上下両方の直円錐に交わる平面で切断したときの、切断面の境界である。

離心率e であるような円錐曲線を Ce とする。このとき、e > 1 であれば、 Ce は双曲線となる。この円錐曲線を適当に直交変換することにより、準線が x = −f , 焦点の一つが F(f, 0) となったとする。双曲線の任意の点 P(x, y) に対し、方程式

e ( x f ) = P F {\displaystyle e(x-f)=\mathrm {PF} }

が成立するが、 P F = ( x f ) 2 + y 2 {\displaystyle \mathrm {PF} ={\sqrt {(x-f)^{2}+y^{2}}}} となるから、上方程式の両辺を2乗して移項整理することにより、

x 2 + 2 ( e 2 + 1 e 2 1 ) f x y 2 e 2 1 = f 2 {\displaystyle x^{2}+2\left({\frac {e^{2}+1}{e^{2}-1}}\right)fx-{\frac {y^{2}}{e^{2}-1}}=-f^{2}}

さらに x に関して平方完成させることにより、

( x + ( e 2 + 1 e 2 1 ) f ) 2 y 2 e 2 1 = ( 2 e e 2 1 f ) 2 {\displaystyle \left(x+\left({\frac {e^{2}+1}{e^{2}-1}}\right)f\right)^{2}-{\frac {y^{2}}{e^{2}-1}}=\left({\frac {2e}{e^{2}-1}}f\right)^{2}}

これが、円錐曲線としての双曲線の基本形である。さらに平行移動: X = x + e 2 + 1 e 2 1 f {\displaystyle X=x+{\frac {e^{2}+1}{e^{2}-1}}f} , Y = y を行って適当に整理することによって、(*) の形になる。

脚注

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参考文献

  • 田端毅、讃岐勝、礒田正美 著、礒田正美・Maria G. Bartolini Bussi 編 編『曲線の事典 性質・歴史・作図法』共立出版、2009年12月25日。ISBN 978-4-320-01907-2。 
  • 中村滋『円錐曲線 歴史とその数理』共立出版〈数学のかんどころ 7〉、2011年12月30日。ISBN 978-4-320-01987-4。 

関連項目

外部リンク

  • 『双曲線』 - コトバンク
  • 『双曲線』 - 高校数学の美しい物語
  • 双曲線の定義・標準形・焦点・漸近線、双曲線の方程式の決定
  • 双曲線の知識まとめ(焦点・漸近線・方程式・媒介変数表示・接線公式)
  • 双曲線の方程式
  • デカルトの双曲線作図器1
  • Weisstein, Eric W. "Hyperbola". mathworld.wolfram.com (英語).
典拠管理データベース: 国立図書館 ウィキデータを編集
  • ドイツ
  • チェコ