フレンケル欠陥

NaCl結晶内での、2つのフレンケル欠陥

フレンケル欠陥(フレンケルけっかん、英語: frenkel defect)とは、結晶中において、格子点イオンが、格子間に移りその後に空孔が残った欠陥のこと。塩化銀 (AgCl) や臭化銀(AgBr)などのイオン結晶にて観察されやすい。フレンケル欠陥は、熱振動が原因で発生しやすい。このフレンケル欠陥の生成は、密度に関しては変化はない。電気伝導性を増加させる。電気伝導性が増える理由は、格子欠陥の生成と同時に電子の励起や、正電荷に帯電した空孔を生成し、それらが電流のキャリアになるためである。「フレンケル欠陥」の名称の由来は、ロシアの科学者のヤコブ・フレンケルにちなむ。

フレンケル欠陥の欠陥密度の式表現は、熱力学で知られているボルツマン分布や、より正確には統計力学のフェルミ・ディラック分布で表現される。 具体的に、ボルツマン分布で近似した場合、フレンケル欠陥の密度式は、以下のような式になる。

C = A exp ( E f k T ) {\displaystyle C=A\exp \left(-{\frac {E_{f}}{kT}}\right)}

ただし

C {\displaystyle C} :欠陥密度

A {\displaystyle A} :比例定数

E f {\displaystyle E_{f}} :空孔の形成に必要なエネルギー。(一般に、物質の融点が低いほど、空孔形成エネルギーは小さい。)

k {\displaystyle k} ボルツマン定数

T {\displaystyle T} :絶対温度。(ケルビン単位。)

である。

関連項目

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