カイバル・パクトゥンクワ州

カイバル・パクトゥンクワ州

خیبر پختونخوا(ウルドゥー語)
Khaībar Pakhtūnkhwā
خیبر پښتونخوا(パシュトー語)
スワート渓谷の湖
スワート渓谷の湖
カイバル・パクトゥンクワ州の旗
カイバル・パクトゥンクワ州の公式印章
印章
愛称: 
フロンティア(辺境、Frontier), Frontier Province, Sarhad
北緯34度0分0秒 東経71度19分12秒 / 北緯34.00000度 東経71.32000度 / 34.00000; 71.32000
パキスタンの旗 パキスタン
州都 ペシャーワル
政府
 • 種別
 • 州知事 ハジ・グラーム・アリ(英語版) (Haji Ghulam Ali)
 • 州首相 アリ・アミン・ガンダプル(英語版) (Sardar Ali Amin Khan Gandapur)
面積
 • 合計 101,741 km2
人口
 • 合計 40,856,097人
 • 密度 400人/km2
等時帯 UTC+5 (パキスタン標準時)
市外局番 9291
ISO 3166コード PK-KP
ウェブサイト kp.gov.pk
KPK州の象徴 (非公式)
州の動物 Straight-horned Markhor
州の鳥 White-crested Kalij pheasant
州の木 Indian date
州の花 Apple of Sodom
州のスポーツ Pashtun archery

カイバル・パクトゥンクワ州(カイバル・パクトゥンクワしゅう、ウルドゥー語: خیبر پختون خواہ, Khaībar Pakhtūnkhwā‎ 、英語: Khyber Pakhtunkhwa)は、パキスタンの州の1つ。旧称である北西辺境州(North-West Frontier Province)でも知られる。2018年に隣接する連邦直轄部族地域(Federally Administered Tribal Areas、FATA)を編入した。州都ペシャーワル。人口は約4086万人(2023年国勢調査[1])。

アフガニスタンとの国境を接するが、国境線(デュアランド・ライン)周辺やペシャーワルと近接するワジリスタンは紛争(ワジリスタン紛争)が起きており、情勢が不安定である。その一方で、北部の森林地帯は美しい風景が楽しめる観光地となっている。

名称

日本の外務省のホームページでは「ハイバル・パフトゥンハー州」と表記している[2]

歴史

「en:Military history of the North-West Frontier」、「デュアランド・ライン」、「パンジャーブ」、および「カシミール」も参照
「en:Swat (princely state)」、「en:Malakand Agency」、「en:Chitral (princely state)」、および「en:Dir (princely state)」も参照

古代にはガンダーラ紀元前6世紀 - 11世紀)が栄え、中心都市はペシャーワルチャールサダ(英語版)タクシラ(現パンジャーブ州 (パキスタン))、フント(英語版)などに移り変わった。

1895年に指導者が謀殺され、権力継承を見守るためギルギットからイギリス軍が遣わされた(チトラル遠征(英語版)[3]1897年マラカンド包囲戦(英語版)ウィンストン・チャーチルが参戦し、著作『マラカンド野戦軍物語』に記録を残した)によってパシュトゥーン人の居住地域はデュアランド・ラインで分断され、en:Malakand Agencyが設置された。 1901年、時のインド副王カーゾン卿によって、北西辺境州(英語版)شمال مغربی سرحدی صوبہNorth-West Frontier Province、略称:NWFP)が創設された。

1947年、イギリス領インド帝国からパキスタン (ドミニオン)が独立。1956年、共和制に移行。

アフガニスタン紛争 (1978年-1989年)では、バダベル蜂起(ロシア語版、英語版)が行なわれた。

ワジリスタン紛争が始まり、2007年第1次スワートの戦い(英語版)10月25日 - 12月8日)、 2009年第2次スワートの戦い(英語版)5月16日 - 7月15日)などが起こった。

2010年4月15日に、北西辺境州からカイバル・パクトゥンクワ州に名称が変更された。

2018年5月31日連邦直轄部族地域(FATA)と州直轄部族地域(英語版)(PATA)を編入した[4][5]

気候

乾燥地帯であるが春先にはまとまった雨が降り、土砂災害水害により多数の死者が出ることがある[6]

地理

スワート渓谷(英語版)で産出したエメラルド
詳細は「カイバル峠」、「スワート渓谷(英語版)」、「マラカンド峠(英語版)」、および「ワハーン回廊」を参照

同国の北西部にある。西はアフガニスタンと国境をなす。北東はギルギット・バルティスタン、東はアザド・カシミール、南はシンド州、南東はパンジャーブ州とイスラーマーバード首都圏と接する。

イラン高原に位置しヒンドゥークシュ山脈南アジアへと傾斜していく地形である。そのためカイバル峠アフガニスタンに通じ、古来より南アジア世界と中央ユーラシア世界を結ぶ文明の交差点となってきた。

南部は乾燥した岩山が多く、夏は非常に高温となる。

一方、北部は森林地帯となっており、夏は過ごし易く、冬は積雪が多い。農業が主要な産業である。特にスワート渓谷(英語版)はスイスのような自然美で多くの観光客を集めている。スワート渓谷のバリコト(イタリア語版、英語版)は、古代国家ウッディヤーナ(英語版)があった地域で、エメラルド鉱山からの鉱物資源が紛争鉱物となっている。

行政区画

カイバル・パクトゥンクワ州の県(2022年)

管区

カイバル・パクトゥンクワ州は、7管区に分かれる。

  1. バンヌ管区(英語版)
  2. デラ・イスマイル・カーン管区(英語版)
  3. ハザラ管区(英語版)
  4. コハト管区(英語版)
  5. マラカンド管区(英語版)
  6. マルダーン管区(英語版)
  7. ペシャーワル管区(英語版)

「:en:List of districts in Khyber Pakhtunkhwa」を参照

さらに7管区は36県に分かれる。

2014年1月15日、コヒースタン県(英語版)上コヒースタン県(英語版)下コヒースタン県(英語版)に分割された[7]

2017年8月26日、下コヒースタン県からコライ=パラス県(英語版)が分立した[8]

2018年5月31日、FATAとの合併に伴い、FATAのバージャウル管区(英語版)ムフマンド管区(英語版)カイバル管区(英語版)オーラクザイ管区(英語版)クッラム管区(英語版)北ワジリスタン管区(英語版)南ワジリスタン管区(英語版)の7管区は県に改編されたうえでカイバル・パクトゥンクワ州に編入された。またPATAが廃止となり、FATA内にあった6辺境地区(英語版)テシル(郡)に降格した。12月21日、チトラル県(英語版)上チトラル県(英語版)下チトラル県(英語版)に分割された[9]

2022年4月12日、南ワジリスタン県は上南ワジリスタン県(英語版)下南ワジリスタン県(英語版)に分割された[10]

  1. アボッターバード県(英語版)Abbottabad District
  2. バージャウル県(英語版)Bajaur District
  3. バンヌ県(英語版)Bannu District
  4. バッタグラム県(英語版)Battagram District
  5. ブネール県(英語版)Buner District
  6. チャルサッダ県(英語版)Charsadda District
  7. デラ・イスマイル・カーン県(英語版)Dera Ismail Khan District
  8. ハングー県(英語版)Hangu District
  9. ハリプール県(英語版)Haripur District
  10. カラク県(英語版)Karak District
  11. カイバル県(英語版)Khyber District
  12. コハト県(英語版)Kohat District
  13. コライ=パラス県(英語版)Kolai-Palas District
  14. クッラム県(英語版)Kurram District
  15. ラッキ・マルワト県(英語版)Lakki Marwat District
  16. 下チトラル県(英語版)Lower Chitral District
  17. 下ディール県(英語版)Lower Dir District
  18. 下コヒースタン県(英語版)Lower Kohistan District
  19. 下南ワジリスタン県(英語版)Lower South Waziristan District
  20. マラカンド県(英語版)Malakand District
  21. マンセフラ県(英語版)Mansehra District
  22. マルダーン県(英語版)Mardan District
  23. ムフマンド県(英語版)Mohmand District
  24. 北ワジリスタン県(英語版)North Waziristan District
  25. ノウシェラ県(英語版)Nowshera District
  26. オーラクザイ県(英語版)Orakzai District
  27. ペシャーワル県(英語版)Peshawar District
  28. シャングラ県(英語版)Shangla District
  29. スワビ県(英語版)Swabi District
  30. スワート県(英語版)Swat District
  31. タンク県(英語版)Tank District
  32. トルガール県(英語版)Torghar District、旧Kala Dhaka District
  33. 上チトラル県(英語版)Upper Chitral District
  34. 上ディール県(英語版)Upper Dir District
  35. 上コヒースタン県(英語版)Upper Kohistan District
  36. 上南ワジリスタン県(英語版)Upper South Waziristan District

主な都市

  • アボッターバード(Abbottabad)
  • バンヌ(Bannu)
  • バッタグラム(Battagram)
  • ダガー(Daggar)
  • チャルサッダ(英語版)(Charsadda)
  • チトラル(Chitral)
  • デライスマイルカーン(Dera Ismail Khan)
  • ディール(英語版)(Dir)
  • ジャムルード(Jamrud)
  • ハングー(Hangu)
  • ハリプール(Haripur)
  • ハーヴェイリヨン(Havelian)
  • フント(英語版)
  • カラーム(英語版)(Kalam)
  • コハト(Kohat)
  • クラチ(Kulachi)
  • (Latamber)
  • ランディ・コタール(Landi Kotal)
  • マラカンド(Malakand)
  • マンセフラ(Mansehra)
  • マルダーン(Mardan)
  • マストゥージ(英語版)(Mastuj)
  • ミンゴラ(英語版)(Mingora)
  • ノウシェラ(Nowshera)
  • ペシャーワル(Peshawar)
  • サイドゥ・シャリフ(英語版)(Saidu Sharif)
  • シャングラ(Shangla)
  • スワビ(Swabi)
  • スワート(Swat)
  • (Tank)
  • ティメルガラ(英語版)(Timergara)

住民

民族

住民の多くはパシュトゥーン人である。その他、チトラル人(英語版)ダルド人(英語版)ラージプートカシミール人サライキ人(英語版)など。

言語

1998年の話者人口比率調査では、パシュトー語73.9%、サライキ語3.9%、パンジャーブ語1.0%、ウルドゥー語0.8%、その他20.4%[11]コワール語、コーヒスターン語も用いられる。

スワーティ語(英語版)のように、これらの言語の各地域方言を総称する名称もある。

宗教

脚注

  1. ^ a b “Khyber Pakhtunkhwa”. Citypopulation. (2023年9月25日). http://citypopulation.de/en/pakistan/admin/6__khyber_pakht%C5%ABnkhw%C4%81/ 2023年11月15日閲覧。 
  2. ^ http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pchazardspecificinfo.asp?infocode=2011C119
  3. ^ Much Sounding of Bugles: The Siege of Chitral, 1895, John Harris, Hutchinson 1975
  4. ^ “NA approves merger of Fata, Pata with KP”. The News International. (2018年5月25日). https://www.thenews.com.pk/print/320943-na-approves-merger-of-fata-pata-with-kp 2023年11月15日閲覧。 
  5. ^ “President signs KP-Fata merger bill into law”. Dawn. (2018年5月31日). https://www.dawn.com/news/1411156 2023年11月15日閲覧。 
  6. ^ “パキスタン北部で豪雨、53人死亡”. AFP. (2016年4月4日). https://www.afpbb.com/articles/-/3082820 
  7. ^ “K-P chief minister approves bifurcation of district Kohistan”. The Express Tribune. (2014年1月15日). https://tribune.com.pk/story/659095/k-p-cm-approves-bifurcation-of-district-kohistan 2023年11月17日閲覧。 
  8. ^ “Kolai-Palas notified as new district”. The News International. (2017年8月26日). https://www.thenews.com.pk/print/226106-Kolai-Palas-notified-as-new-district 2023年11月17日閲覧。 
  9. ^ “Chitral bifurcated into two districts”. Chitral Today. (2018年12月22日). https://chitraltoday.net/2018/12/22/chitral-bifurcated-into-two-districts/ 2023年11月17日閲覧。 
  10. ^ “KP Cabinet approves South Waziristan’s bifurcation for effective management”. Dawn.com. (2022年4月13日). https://www.dawn.com/news/1684725/kp-cabinet-approves-south-waziristans-bifurcation-for-effective-management 2023年11月17日閲覧。 
  11. ^ Percentage Distribution of Households by Language Usually Spoken and Region/Province,1998 Census Pakistan Statistical Year Book 2011,パキスタン連邦統計局

関連項目

外部リンク

  • Government of Khyber Pakhtunkhwa - 州政府公式サイト
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連邦直轄地域
カシミール

座標: 北緯34度00分 東経71度32分 / 北緯34.000度 東経71.533度 / 34.000; 71.533

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