アナクトリオン

アナクトリオン
Ἀνακτόριον
ウィリアム・マーティン・リーク(英語版)によるアナクトリオン遺跡の地図。1824年。
アナクトリオンの位置(ギリシャ内)
アナクトリオン
アナクトリオン
アナクトリオンの位置
フランス地理学者バービー・デュ・ボカージュ(フランス語版)による1820年の地図。
所在地 西ギリシャ
エトリア=アカルナニア県
座標 北緯38度55分15秒 東経20度50分36秒 / 北緯38.92083度 東経20.84333度 / 38.92083; 20.84333座標: 北緯38度55分15秒 東経20度50分36秒 / 北緯38.92083度 東経20.84333度 / 38.92083; 20.84333
種類 都市, アクティウム, アポロン・アクティオス神殿
歴史
時代 古代ギリシア, 古代ローマ

アナクトリオン古希: Ἀνακτόριον, Anaktorion, : Anactorium)は、古代ギリシアアカルナニア地方の都市である。アナクトリオンはアンブラキア湾南岸の半島にあり[1][2]、その遺跡は現在のネア・カマリナ(Νέα Καμαρίνα)の南西、ヴォニツァ(英語版)から西に約4キロのところに位置している。

歴史

イオニア海からアンブラキア湾に入ったとき、アナクトリオンは湾の入口にあるアクティウム(アクティオン)の次に見える都市だった。アナクトリオンとアクティウムはおよそ40スタディオン(約8キロ)離れている。

古代の情報源によると、アナクトリオンはケルキュラと同じくコリントス植民都市であり、コリントスの僭主キュプセロスの治世の、前657年から626年頃に建設された。ダマスコスのニコラオス(英語版)はレウカスとアナクトリオンの創建者をキュプセロスの非嫡出児ピュラデス(Pylades)およびエキナデス(Echiades)と伝えており、ストラボンはキュプセロスとゴルゴスの派遣したコリントス人がレウカス島の入植に続いて、アンブラキアとアナクトリオンを創建したと述べている[3]。アナクトリオンは、しばらくの間、アカルナニア地方で最も重要な都市の1つであった。都市の支配領域はアナクトリアἈνακτορία)と呼ばれ、その面積は25から100平方キロメートルの間と推定されている。この範囲内には、とりわけアクティオンのある岬のエリアが含まれる[1][2]。また都市の市民はアナクトリオスἈνακτόριος)の名で知られている[1][2]

アナクトリオンは前5世紀から独自の銀貨を鋳造し始めた。ペルシア戦争ではアナクトリオンはギリシア側に味方し、前479年にレウカスとともに800人の重装歩兵を率いてプラタイアの戦いに参加した[4]。コリントスとケルキュラの間で戦争が始まると、コリントス人はペロポネソス戦争中に社会秩序の動揺を巧みに利用し、アナクトリオンを独占した。ペロポネソス戦争では、コリントスと同じくスパルタ側に立った。アカルナニア人がアテナイの助けを借りて都市を支配した前425年まで、都市はコリントス人の入植者の支配下にあり、その後コリントス人は追放された。これらの出来事の結果として、アナクトリオンはおそらくアカルナニア同盟(英語版)の一員となった[1][2]

前356年から346年の第三次神聖戦争(英語版)ではテーバイの側に立った。その後、ヘレニズム時代とローマ時代の初めまでその重要性を維持した。アウグストゥスは前31年のアクティウムの海戦の勝利を記念して、新たに建設した北岸のニコポリス(英語版)に人々を移し、その後はニコポリスの港として機能した[1][2][5]

都市の遺跡は19世紀の初めにイギリスウィリアム・マーティン・リーク(英語版)によって初めて踏査された。アナクトリオンの遺跡からは、市壁に囲まれた都市の遺構が発見された。最も有名な聖域は、アクティウム岬にあるアポロン・アクティオス神殿である[1]。かつて独立した自治体であったアナクトリオ(英語版)は、現在のアクティオ=ヴォニツァ(英語版)の一部であり、古代の都市にちなんで名付けられた。

ギャラリー

  • アナクトリオンの貨幣。コリントスの神話に登場するペーガソスと、コリント式兜をかぶった女神アテーナーが描かれている。
    アナクトリオンの貨幣。コリントスの神話に登場するペーガソスと、コリント式兜をかぶった女神アテーナーが描かれている。
  • アナクトリオン周辺の墓から発見された黄金と宝石で制作された副葬品。アテネ国立考古学博物館所蔵。
    アナクトリオン周辺の墓から発見された黄金と宝石で制作された副葬品。アテネ国立考古学博物館所蔵。

脚注

  1. ^ a b c d e f Mogens Herman Hansen, Thomas Heine Nielsen 2004, p.114.
  2. ^ a b c d e William Smith 1854, « Anactorium ».
  3. ^ ストラボン、10巻2・8。
  4. ^ ヘロドトス、9巻28。
  5. ^ ストラボン、10巻2・2。

参考文献

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